・プロローグ・


 一陣の風が、遥かに広がる砂原の上を舞う。
 ここは、イムリーダと呼ばれる大陸のおよそ8割を占める砂漠、『イムリーダ』。
 この不毛の土地にも、わずかに水が湧き、植物の自生する場はある。
 オアシスである。
 その、広大な砂漠に点々と存在するオアシスを中心にして、人々は街を作り、営みを行っている。

「この世界を構成する物として、精神力と精霊力が上げられよう。
 精神力は、それを使って“思念剣”と言う物を作り出せる。剣士達はほぼ全ての者達が思念剣を使えるから、ま、一種の精神術者と言えるだろう。
 対して精霊力は、万物に宿りし力の事だ。風には風の精霊、砂には砂の精霊。これらの精霊を使って様々な術を使う者達が、精霊術者だ。
 …え? 他にも様々な術者がいるだろうって?いやいや、とりあえず今日はこの2つの術者だけを説明させてもらうよ。
 何故かって?いやね、これから話す私の二人の友人達が、丁度この2つの術者でね…」

 〜砂の月、20と4の日。「ルミワレス」の街、「砂の船」亭にて。
  『語りたくない語り部』ソーラス、かく語りき〜