・序章・


 いらっしゃいませ、当「片桐古物商」へようこそ。私は、当店の主で、片桐和樹と申します。
 当店では、店の看板通り、古物・・・まあ、今風に言えば「アンティーク」とでも申しましょうか、そういう品々を取り扱ってございます。
 お客さま、お気に召す物はございましたでしょうか? こちらの壺などは、唐の時代から伝わる珍しい物で・・・え? これは良いって? 左様でございますか。
 では、こちらの時計などはいかがでしょうか? 長年時を刻み続けた風格と気品を兼ね備えた、当店自慢の逸品でございます。え? これもいいって? はあ、さようで。
 では、どのような物がよろしゅうございますか? え? 何か、とっておきの隠し球は無いかって?
 ・・・そうですね・・・では、お客さまだけの特別と言う事で、我が店の書庫の書物をご覧に入れましょうか。
 いえ、たかが本と侮る事無きよう。当店の書庫の本達は、それはそれは他では見られない、貴重な品ばかりでございます。
 では、まずはこの目録をご覧くださいませ・・・。