考えてみれば、僕はほとんどセリオの事を知らない。
そのきわめて自然な動作と、サテライトシステムによる高い汎用性、
その位の事しか知らないのだ。
でも、そんな事は実際、どうでもよかった。
性能で見るなら14型のほうが高性能だし、値段だって12型のほうが安い。
だからそんな事はどうでもよかった。
僕に必要だったのは、僕以上にメイドロボの事を知らない両親を
丸めこめるだけの知識でよかった。
そう、性能や値段は問題ではない。(値段は多少問題だったが…)
僕が求めたのは彼女だから。
僕は『セリオ』が欲しかった。
『僕だけのセリオ』が欲しかったのだから…
「どうかしましたか?マスター。」
はっ、と我にかえる僕。
ちょっとぼ〜っとしていた様だ。
「……お口に合いませんでしたか?」
そう言って不安そうな顔で僕の顔色をうかがうセリオ。
「あ?ああっ!いや!そんな事ないよ!とてもおいしいさ!」
勤めて明るく言う僕。
そりゃ食事中に急に黙り込めばそう思っても不思議はない。
「ごめん、そういうことじゃないんだよ」
「そうですか、わかりました。」
そう言うとまた黙々と食べ始める…ん?
「そういえば、さ…」
「はい。」
「セリオって、ロボットなのにご飯食べるよね」
「はい。そうしないと食事がしにくい、という事で可能となっています。」
確かに。普通の庶民としてはそばでじっとしていられたら気になってしょうがないだろう。
「でもあんまり食べないよね」
「はい。食べることは出来ますが、それだけです。つまり、雰囲気作り以外の意味がないので無駄を省くためにも摂取量は極めて少量なのです。」
「じゃ食べた物って…」
「はい、このように…」
そう言ってエプロンの下に手を入れると
ガコン!!
すごい音。そしてお腹をまさぐるような動きの後…
「専用の袋にためて、後で廃棄します。」
ニコッと笑ってセリオが見せたのは、掃除機とかでよく見るあの袋だったりした。
そして沈黙…
「「………」」
僕は何と言ったらいいんだろう…
そうやって黙っていると、セリオはだんだん不安そうな顔になってきた。
「あ、甘い物はべ、別腹といいまして…」
どもってるし…とりあえずツっこんでやるか。(笑)
「うそおっしゃい」
おもむろに立ち上がってチョップをくれてやる僕。ぺしっと。
「す、すみませんっ。」
顔を真っ赤にしてうつむくセリオ。…か、かわうい(爆)
そんなこんなで今日も過ぎて行く。
結局食べた物がどうなるのかは聞かなかったけど…
「まぁ、知らなくてもいいことってあるよね」
そう思って、そのことには触れないことにした。
<あとがき>
ん〜なんといえばよいのだろう(笑)
行くべき道も見えず、迷走を続けるセリオの明日はどっちだ!!