今日は実家から荷物が送られてきた。
ちょっとした日用品と缶詰とかの食料、それと手紙と小遣い。
「やはり持つべき物は親だなぁ」
「そうですね。」
一緒に開封していたセリオがしれっと言ってのける。
「……」
今のはボケだろうか?違うのわかってていったんだけど……
「…後はこれだけです。」
そう言ってセリオが渡してくれたのは新聞紙の塊だった。
いや、なにかを包んでいるんだけど、やけに厳重に包んであるんでそう見えた。
「やぁ、なつかしいなぁ」
四苦八苦しながら包みを解いて、出てきたのはオカリナ。
小学校を卒業するとき、親戚のお姉さんがくれたものだ。
その時一度だけ吹いてくれたそれの音色と、それを吹いてるお姉さんの姿に、僕はすっかりとりこになった。
思えばあれが僕の初恋だったのだろうか。
お姉さんはその後すぐに結婚してしまって、初恋もすぐに終わってしまったが…
そんなわけで、お姉さんを意識していた僕はこのオカリナを吹いたことはない。
当然今も吹けない。
ちょっと小首を傾げて、僕の様子をのぞき込んでたセリオに説明する。
「これはね、思い出の品なんだよ」
「思い出、ですか…」
あ、ちょっとさびしそう(汗)
「そ、そうだ!セリオ、これ吹いてみてよ。僕は吹けないからさ」
そう言ってセリオにオカリナを渡す。
「よろしいのですか?」
遠慮がちにそれを受け取ったセリオはそう聞いてきた。
思い出の品、と言ったのを気にしてる様だ。
「もちろんだよ。それにこれは楽器なんだから。演奏してやらないと可哀想だよ」
「…わかりました。なにかリクエストはありますか?」
「ん〜何でもいいよ。オカリナの曲ってぜんぜん知らないし」
「わかりました……」
そう言って少し沈黙。
「…では。」
そして始まった演奏…
これは何というのだろう…しずかで、やわらかくて、やせしくて…
なにより驚いたのはその曲が、あの時お姉さんが吹いたのと同じ曲だという事だ。
そういえば、あの人もセリオみたいに長髪だったなぁ、と懐かしい気持ちになった。
「オカリナっていうのもいいものだなぁ」
「はい。」
「セリオも上手だったよ。ありがとう」
「はい、ありがとうございます。」
よく考えてみれば、サテライトがあるから上手くて当然ではあるけれど、まぁ、そんな事はどうでもいいや。
「そうだ、それはセリオにあげるよ」
「よろしいのですか。思い出の品と聞きましたが?」
「うん、でもさっきも言ったけど、それは楽器だからね。セリオが吹けるなら、
セリオがもってたほうがいいよ。時々それを吹いてくれれば、僕はいいからさ」
セリオはちょっと考えている様だったけど、
「わかりました。ありがとうございます、マスター。」
そう言ってセリオはもう一度オカリナを吹きはじめた。
「こういうのもいいもんだなぁ」
やさしい旋律と共に、夜は更けていく…
<あとがき>
そんなわけで第六話。
相変わらず元ネタとかけ離れてますが・・・
ほのぼのと行きましょう。(笑)