− その3 ケーブル敏感 −

 夕食の後、ぼんやりとテレビを見ていた僕はふとそのことに気がついた。
「ねぇセリオ」
「はい、何でしょうか。」
 ちょうどお茶を持ってきてくれたセリオを呼び止める。
「うん、聞きたいことがあるんだけど・・・(ずずぅ)・・・うん、おいしい」
「ありがとうございます。」
 律儀というかなんというか・・・
「ま、すわって」
「はい。」
 テーブルの向かいに正座するセリオ。
「聞きたいこととはなんでしょうか?」
「うん、セリオって衛星放送の受信ってできるのかい?」
「はい、サテライトシステム用の衛星はBSとしての機能も持ち合わせていますから可能です。」
 さすがセリオ。即答である。
「少々お待ちください。」
 そう言って立ち上がるとテレビとビデオの裏に回る。

「このテレビとビデオでしたら接続可能です。」
 あ、そうか。受信するだけじゃだめだ。出力できないと意味がない。
「今なにやってるのかなっと、ちょっと待って・・・・・・アニメでお願い」
「はい・・・・・・ZZとりゅうないとが放映中です。」
「ZZはどのあたり?」
「『吐き出すものなど・・・ない!』というあたりです。」
 うおっ!みてえ!!って物まねうまいなセリオ。なんか違う気もするが。
「よし!早速頼むセリオ!!とりあえずテレビにつないでくれ」
「わかりました。」
 そう言うとセンサーのほほの部分とテレビをコードでつなぐ。
「ビデオ2につなぎました。もう見れます。」
「わかった」
 チャンネルを変えるとあの美しい機体が真っ二つになっていた。もう終わるな・・・
「セリオ、この次は?」
「このチャンネルですと、さいばあFぜろです。」
「ん、じゃこのままで・・・」

 で、木星に行ったりもしたわけだけど、さっきからどうも落ち着かない。
 いや、理由はわかっているんだが・・・

「・・・セリオ」
「はい。」
「そう見つめられると落ち着かないんだけど・・・」

 そう、さっきからテレビの隣に座ってじぃぃぃぃぃっとこっちを見てる。
 精神衛生上非常によろしくない。

「こっちきなよ」
「ですがこのケーブルは50cmしかありませんのでこれ以上は動けません。」
 何だよそのケーブルは。新手の嫌がらせか?
「じゃせめて横か後ろ向いてくれる?」
「・・・・・・・・・・・・・・わかりました。」
 そう言って後ろを向くセリオ。すご〜〜〜〜〜くさびしそうに。
 それに何だその『間』は。ひきょうだぞセリオ!(爆)

「セリオ、もう衛星はいいからこっちで一緒にNHKすぺさるでも見ようよ」
「はい。」
 何かうれしそうなセリオと、何か腑に落ちない僕。

「まぁ、衛星はまた今度でいいや。」

 こうして今日も過ぎて行く。


<あとがき>

 というわけで3話目です。
 某所において「ケーブル物を書く」といったので・・・
 でまぁネタ的に出来たのでさっと書いてみました。
 ちょっとノリが違うような気もしますがまぁよし(笑)