小樽水上オルゴール堂シリーズ・番外編
「夢のオムレツ♪」
(Episode:HM−13b4・芹凪、HM−13f375・美菜子(ToHeartオリジナルキャラ)
/連載SSシリーズ1作目・番外編第3話/投稿作品/投稿者:羽零さん)


 じりりりり…

 ふにゅう〜
 目覚ましが鳴ってる。
 朝…

 ………くー。

 …はっ!
 起きなきゃ〜
 今日の朝は芹凪姉ちゃんがオムレツ作るって…
 おいしいんだよね、芹凪姉ちゃんのオムレツ…

 …でも…眠い…

 どうして寒くなると、こんなに起きられなくなるのかなあ…
 お布団が気持ちよすぎる〜

 私、将来はお布団のお嫁さんになってもいいなあ。

 …さ、起きるぞ〜

 ………くー。

 ダメだったら!
 しっかりしなさい、美菜子!

 よおし、「いち、にい、さん」で…

「いち…にい…」

「さんっ!!!」

 私はやっとお布団を跳ね飛ばした。
 ごめんね、さっきの話はまた今度ね♪

 時計を見ると…
 おっ、ちょうどいい時間。
 私はいそいそと部屋を出た。

 廊下に出ると、ぷ〜んといい匂いがしてきた。
 芹凪姉ちゃんのオムレツの匂いだ…
 コーヒーの匂いもする。

 うーん、ちょっと寒いけど、早起きは三文の得って言うもんね。

「ミナちゃん、おはよう」
「お、美菜子、今日は早いじゃないか」
 ふふ、私だってたまには…

「おはよう、宗さん、芹凪姉ちゃん」
 私は朝の挨拶をすませると、食卓についた。
 テーブルには既に、おいしそうなオムレツとトーストが並んでいる。
 うう〜ん、やっぱり早起きは三文の得ね〜♪

「じゃあ、いただきましょう」
「は〜い、いただきます!」
 芹凪姉ちゃんも椅子に座り、待ちに待った朝ごはんが始まった。

 まずはコーヒーを一口…

 ずずー…

 ………

「あれ?どうしたんだ、美菜子。固まっちゃって…」
「………にがいよお…」

 コーヒーはブラックだった。
 私、苦いのとか辛いのとかダメなの〜

「あらあら、それはマスターのよ。飲む前に気づかなかったの?」
「…うう〜、油断してた…」

 しかめっ面をする私とは対照的に、宗さんと芹凪姉ちゃんはくすくす笑ってる。
 私はちょっとだけ、ふくれた。

 さて、口直しにオムレツを…
 ああ〜、早起きできた私へのごほうびね〜
 フォークに一杯に大きなかたまりを乗せて、一口で…

「あ、ミナちゃん、お塩とって」

 う…
 まあ、しょうがないか。

「はい、芹凪姉ちゃん」
「ありがと」

 それじゃ、改めて…
 一口で♪

「美菜子、悪いけど新聞とってくれないか」

 うう…
 またしても…

「はい、でも行儀悪いよ」
「ほどほどにしておくよ」

 …さて、これで邪魔する者はいないわね。
 一口で…

 ………かぷっ。


 気がつくと、私はお布団にかぶりついていた。
 ………ということは?

 ああ〜!
 また寝坊しちゃった〜〜!!

 私は飛び起きた。
 時間は…朝ごはんなんて、とうの昔に終わってる。

 もう!!
 この気持ち良すぎるお布団がいけないのよ!!

 …さんざんほしたお布団を叩いたあと、
 私は廊下に出た。

 すると。
 芹凪姉ちゃんのオムレツの匂いがした。

 あれ?
 どうして?
 私はリビングに急いだ。

「おはよう、ミナちゃん」
「お、美菜子起きたか〜」
「………」

 私の目の前には、さっきと同じ光景があった。
 フライパンの上には文字通り、夢にまで見たオムレツがじゅうじゅういってる。

「え?どうして?もう10時すぎなのに…」

 私が不思議に思っていると、宗さんがポリポリと頭を掻いた。

「いやあ、あまりに寒いんでね〜ついつい、寝過ごしちゃったんだよ」
「え〜、宗さんが〜?」

 私ならともかく、宗さんが寝坊なんて珍しいなあ。

「いやいや、実は芹凪も…」

 ええっ!?
 芹凪姉ちゃんを見ると、ちょっと恥ずかしそうにしてる。
 ふ〜ん、あの芹凪姉ちゃんがねえ…

 その日は、みんなで遅い朝ごはんを食べました。

 もちろん、芹凪姉ちゃんのオムレツ♪

〜 おしまい♪ 〜