小樽水上オルゴール堂シリーズ
「第1話『朝 〜芹凪の場合〜』」
(Episode:HM−13b4・芹凪、HM−13f375・美菜子(ToHeartオリジナルキャラ)
/連載SSシリーズ1作目・第1話)


 ちゅんちゅん。

 スズメの鳴き声が聞こえます。
 そろそろ、夜が明ける頃ですね。
 私も起きるとしましょうか。


 ベッドから起き上がり、背伸びをします。
「う〜・・・・・・ん」
 思いっきり伸びた後、カーテンを素早く引きます。

 しゃっ。

 一瞬の後、眩しいくらいの朝の光。
「・・・・・・」
 私の部屋は、東向きですので、朝には必ず朝日が見えます。
 それを少しだけ眺めてから、着替えて朝の支度をするのが、私のささやかな日課でもあり、楽しみでもあり。


 支度を整え、部屋を出ます。
 廊下に立ってから、ふと妹の部屋の方を見て見ますが・・・。
「・・・・・・」
 何の物音も聞こえて来ません。
 それもその筈。ミナちゃんは朝はとても弱いので・・・くすくす。


 ミナちゃんとマスターを起こさないように、静かに階段を降ります。
 そして、そのまま郵便受けから新聞を取って来ると、キッチンの方へ。

「さて、と」
 腕まくり一つ、気合いは十分。
 では、朝ご飯の支度を始めましょう。

「るんるんるんるんるんるりら〜♪」

 ラジオから聞こえて来る音楽に合わせて、いつもの様に朝ご飯を3人分、用意します。
 トーストは、こんがり薄キツネ色に。
 コーヒーも少し薄め。
 目玉焼きは3人とも好みが違うので、それぞれの好みに合わせて。
 おっと、ミナちゃん用にコーヒーに入れる牛乳と御砂糖を忘れてはいけません。
 これ忘れると、ミナちゃんコーヒー飲めないんですよね。

 よし、完璧です。
 朝ご飯の準備は、こうして終わります。


「ふわぁ〜・・・おはようさん、芹凪」
「あ、おはようございます、マスター」
 朝ご飯の支度が終わった頃、眠そうな顔をしながら、マスターが起きて来られました。
「ミナちゃん、まだ寝ていました?」
「あ〜・・・いや、オレが降りて来る時に、目覚まし鳴ってたから、そろそろ起きて来るんじゃないの?」
 その言葉とほぼ同時に、ミナちゃんがダイニングにやって来ます。
「ふにゃぁ・・・おはようございまふ・・・」
 いすに座って・・・そのままテーブルにごん。
「・・・す〜」
 これはいつもの事です。
「こら、美菜子、寝るなら自分の部屋で寝なさいって」
 マスターが苦笑いしながらミナちゃんのほっぺたをつついています。
 これもいつもの事です。
「うぅ・・・でも、朝ご飯食べないと力でないし・・・」
 ほっぺたつつかれながら、半分寝ながら答えるミナちゃん。
 これもやっぱり、いつもの事です。

「いただきます」*3

 そうやって、いつもの朝が始まります。


  ...It continues to the next season.