・第4章「文化祭本番・1日目」・


 そして、文化祭の1日目が始まった。
 これから3日間、桜ヶ丘高校は祭りの中に突入する。
 その為か、生徒達は朝早くから学校に集合していた。
 無論、探偵同好会のメンバーも例外ではない。

「おはよう、徳さん、ユイちゃん」*2
「おっす」
「あ、おはようございます、綾乃さん、知美さん」
 桜街道の一番下で、綾乃・知美・宗一郎・ユイが顔を合わせた。
 そのままそろって歩き出す。
「今日も天気良さそうだね」
 綾乃が空を見上げながらそう言った。
「そうだね〜。まあ、雨降るよりは良いと思うよ」
「文化祭日和ってか?」
「そうね」
 残りの3人も空を見上げる。
「おはようでござる。何か空に見えるでござるか?」
 と、彼らの後ろから雹吾が声をかけて来た。
 並びながら空を見上げる。
「あ、雹の字君、おはよう。今日も天気が良いねって話してたんだ」
「なるほど、そうでござったか」
 そう言って、再び歩き出す。

「・・・? ねえ、あれってこの前の二小見先輩じゃない?」
 桜街道をしばらく歩き、校門まであとちょっとの所まで来た時、知美が前を指差してそう言った。
「? どれ?」
 前を見ると、確かにこの前の女生徒が、ゆっくりと歩いていた。
「・・・一応挨拶くらいはしておこうか?」
 そう言って知美がアリスのそばに駆け寄る。
「二小見先輩、おはようございます」
 いきなり挨拶をされて、アリスはかなり驚いた様子だったが、
「あ、え、お、おはようございます」
と挨拶を返した。
「先輩って、どこかのクラブとか部活とかに所属しているんですか?」
「いいえ、どこにも所属していないの。・・・と言うのも、私、この前転校して来たばかりだから」
「あ、そうなんですか。良ければ、うちの同好会で喫茶店やっていますから、見に来て下さいね」
「あ、はい」
「それじゃあ」

 その様子を、少し離れた所で見ている6つの目があった。
「・・・片桐様、ターゲットを発見しました。実験体201号は例の北上ユイの学校に、生徒として紛れ込んでいるようです」
『そうか。よし、チャンスだ。お前達はそのまま監視を続けろ。すぐに私が行って、私が直接指揮をとる』
「解りました」

「じゃ、着替えて来るから〜」
 そう言って、綾乃・知美・ユイは部室から出て行った。
「・・・しかし、何で仮装なんだか・・・」
 既に着替え終わった宗一郎がぼやく。
「まあまあ。お祭りでござるよ」
 と、これも着替え終わった雹吾がそう言った。
 ぷっぷ〜。
 と、部室の側に車が止まる音がしたかと思うと、クラクションが鳴った。
「?」
 宗一郎と雹吾が外に出て見ると、そこには荷物を満載した軽トラックから丁度降りて来る健がいた。
「おはよう、二人とも。取り敢えず、お茶菓子の入荷はこれで終わりだけど、運ぶの手伝ってくれない?」
「おう、いいぜ」

 やがて、すべての荷物を運びおえた所で綾乃達が帰って来た。
「ただいま〜・・・って、あら健さん、今来たの?」
「おはようございます、ついさっき来たんですよ・・・って、何かすごいですね」
「そう?」
 
(以下、次回更新時に追加執筆予定)