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 そんなこんなで、誕生パーティーはお開きになった。
 一人一人、セバスのじじいが運転するリムジンで送ってもらい、それぞれの家へ帰ってゆく。
 最後にオレとあかりが家の近くまで送られた。
 そして、何故か芹香先輩と綾香が同行して来た。
「・・・二人とも、ありがとな。すごく楽しかったぜ」
 車から降りて、窓を開けている来栖川姉妹に、少し照れながらオレは礼を言った。
「お気に召してくれた?」
 にこやかに話す綾香。
「まあな。と言うより、すごく嬉しかった」
「本当、浩之ちゃん、最初に入って来た時にすごくうれしそうな顔をしていたもんね」
「ま、まあな」
 て、照れる。
 思わず頭を掻きながら横を向いてしまった。
 それを見てくすくす笑うあかりと綾香。芹香先輩は・・・さすがに笑っていなかったが、目はとても暖かい目をしていた。
「じゃあ、またな。また、こう言うイベントがあったら呼んでくれよな」
「うん、じゃあ、またね」
「………………」
 そうして、リムジンは走り去っていった。


「しかしよ、せめて一言くらい言ってくれても良かったんじゃね〜のか?」
「ご、ゴメンね。でも、どうしても秘密にして置いて欲しいって、綾香さんに頼まれちゃったから・・・」
 あかりの家まで送って行く事になり、並んで歩く帰り道。
 ふと、思い出したオレはあかりに文句を言った。
「でも、浩之ちゃんの嬉しそうな顔って、本当に久しぶりに見たな〜」
「うん、そうか?」
「うん、だって、最近浩之ちゃんって、今日の事調べるのに夢中になっていたじゃない?」
「ま、まあな」
 ふふっと微笑むあかり。


 やがて、あかりの家の前に着いた。
「じゃあ、ちょっと待っていてね」
 あかりは一旦家の中に入ると、何やら包みをもって出て来た。
「はい、これは私からの誕生日プレゼント。一日早いけど・・・」
 そう言って、にっこりと微笑んでオレにその包みを渡してくれた。
「おう、ありがとな」
 包みを受け取る。
 へへっ、実は、今日の一連の出来事の中で、これが一番嬉しかったりする。
「じゃあね」
「おう」
 あかりは家に入ろうとしたが、立ち止まってオレの所に戻って来た。
「? どうした?」
「・・・あのね。何か、今日の浩之ちゃん、すごく羨ましかった」
 羨ましい?
「・・・何でだ?」
「だって、浩之ちゃん女の子のお友達がいっぱい居たじゃない。ちょっとだけ妬けちゃうな・・・」
 少し寂しそうに言うあかり。
 ・・・ったく、こいつときたら。
「しょーがねぇなあ、お前は」
 そう言って、オレは少し強引にあかりの体を引っ張った。
「あっ?」
 そのまま抱き寄せ、半ば強引に唇を塞ぐ。
「・・・!」
 最初はびっくりしていたあかりだったが、やがて目をつぶった。
 そのまま、しばらくその恰好で居た。
「・・・ったく、お前は本当に心配性だよなぁ」
 しばらくして、唇を放してからオレはそう言った。
「・・・だって・・・」
 赤くなって下を俯くあかり。
「安心しろ。オレは世話好きなのは確かだが、浮気性じゃねぇよ」
「・・・じゃあ、証拠を見せて?」
 あかりが、潤んだ目を向けて来た。
「・・・ったくよぉ・・・」
 あきれながら、オレはもう一度、あかりの唇を塞いだのだった。

− 終わり −


 後書き、のようなもの。


 これ、実はかなり無茶して書き上げた作品です。
 書き始めたきっかけは「出張中だと言うのに誕生日がやって来て、当然誰も祝ってくれず、しかもついでのように連休が無くなった事に対する怒りを込めて」と言う話(笑)。
 んで、具体的にどんな事をしたかと言いますと、仕事時間中にこの小説を書いて、さっぱり仕事をしなかったのが誕生日の前後3日間(爆笑)。
 しかも、仕事時間中にしか書かなかったので、実質約20時間程度で書き上げた計算になります。やれやれ。
 おかげで今見直すと荒だらけ。

 んで、ただ書いただけじゃあもったいない。
 じゃあ、確か「Leafin’ LIFE」がアクセスカウント数37000を越えたくらいの筈だから、それの記念と言う事で贈りましょう、と言う事で、23日には発送しておりました。
 で、ついでだから自分の所にも掲載しましょう、と言う事で、掲載しました。

 ・・・しかし、オールキャストとか言いながら、その実浩之SSだな、こりゃあ(苦笑)。
 しかも、キャラクターがかなり『私色』に染まっております。
 特にひどいのがマルチとセリオかな。やっぱりまずかったかな〜、「ヒ○ダンス」は?(苦笑)

 と言う訳で(ど〜いう訳だか)、かなり「私色」に染まってしまったSSですが、お楽しみ頂けたでしょうか?


・1998/04/25:HTML化、掲載。
・1999/08/19:web移動に伴う修正。