「時間は大切に/6月11日」
(Episode:HMX−13・セリオ(ToHeart)/6月の小噺・その1)
*使用キーワード:
・時の記念日(6/10)
・水着選び
ある、梅雨の合間の晴れた日に、オレはセリオを連れて街に出てきた。
家の中で必要な物を買って置きたいと言うので、「どうせだったら」と言う事で街にまで出てきたのだ。
「セリオ、必要なモノの買い物は終わったか?」
「はい、終わりました」
既にオレの両手には買物袋が一つずつ下げられており、更にセリオも右手に買物袋を下げて居た。
「何か、久しぶりに大量に買い込んだなぁ」
そうつぶやきながら、オレは買物袋の中を覗き込む。
中には、キッチンペーパーやラップ等、主に台所用品が大量に入って居た。
まあそれ以外にも、食材やら何やらと色々入っては居るのだが。
「そうですね。無くなって居た消耗品の他にも、近所のスーパーより安売りをして居る物がいくつか有りましたので、財布の中身を圧迫しない程度に買いだめして置きました」
「そりゃ何とも頼もしい事で」
実際、セリオがうちに来てからと言う物、食べ物はもとより家の中の必要物品が切れたと言う事は無い。
それに、物の値段のチェックを細かくしてくれて居るので、家計の方もかなり助かって居る。
「さて、と。せっかく天気もいい事だし、このまま帰るのは何か惜しいな」
「でも、遊びに行くにしても、この荷物ではちょっと辛いのではないですか?」
セリオが、オレとセリオの手の荷物を見ながらそう答える。
「そりゃそうだ。だから・・・」
と、オレは左手の荷物を右手に持ちなおして、セリオの右手を取る。
「こうやって、手繋いで歩いて、ウインドショッピングしながらデートするってのも、たまにはいいんじゃね〜の?」
「・・・そうですね」
そう言って、セリオはわずかに微笑んだ。
「せっかく晴れてるんだし、時間は有効に使おうぜ。昨日は・・・えーっと、何ったっけ?」
「昨日は、時の記念日ですね」
「そうそう、時の記念日。一日過ぎちまったけど、な」
そう言って、オレはセリオの手を軽く引いて歩き出した。
「・・・はい」
その後を、少し顔を赤らめながら、セリオが嬉しそうについてきた。
しばらく歩いた所で、オレは『それ』に気がついた。
「お? ・・・そうだ、セリオ、今度また泳ぎに行かないか?」
「泳ぎ・・・海、ですか?」
「まあ、海でも隣町のプールでもいいや。どうだ?」
「そうですね・・・」
わずかに首をかしげながら、少し考えて居たセリオだったが。
「・・・はい、行きたいです」
そう答えた。
「よし、んじゃあ水着を選ぼう」
そう言って、オレはセリオの手を引いたまま、先程見つけた水着売り場にセリオを連れて行った。
「え? あ、あの、水着なら以前買って頂いたのが・・・」
「毎年同じじゃ飽きるだろ。綾香なんぞはその時その時で水着変えて来てるぞ。セリオも2着くらい水着持ってたっていいだろう?」
「はぁ・・・」
「それに、お前の新しい水着姿、見てみたいしな」
オレがそう言うと、セリオは少しの間何かを考えて居たが。
「・・・そうですね、たまにはだまされた事にして置きましょうか」
そう言ってくすくすと笑い出した。
「・・・何か酷い事言ってないか?」
「いえ、気のせいですよ、多分。・・・ところで浩之さん、どんな水着が良いと思いますか?」
セリオはそう言って、何枚かの水着を手に取ってオレに見せてきた。
「泳ぎに行くの、楽しみですね」
買ってやった水着を胸元に抱えて、セリオがそう言ってきた。
なんだかんだ言って、結構嬉しそうにしてる所が、セリオらしいと言うか。
「ああ、そうだな」
「梅雨が晴れたら、早速泳ぎに行きません?」
「そうだな。二人で泳ぎに行こうか」
オレがそう言うと、セリオは嬉しそうに、
「はいっ。・・・きっとですよ」
と言って、腕を組んできたのだった。
− 終わり −