「化猫屋敷」
(Episode:HMX−13・セリオ(ToHeart))


 季節はもうすぐ夏(北海道はまだまだ後ですけど)。
 夏と言えば、やっぱり(?)「怪談」!。
 と言う訳で、仕事中にふと思いつきでこんなの書いて見ました(笑)。
 今までの「葉っぱSS」で取って来た路線とは全く違い、一発ウケ狙い。
 ニヤリと笑っていただければ、それでおっけ〜♪(笑)

 ・・・すいません、私が悪かったです、ハイ(苦笑)。

 と言う事で、先に謝って置いたので、後は取り敢えず読んで見て下さいな(笑)。

・1998/05/22:HTML化、掲載。
・1999/08/19:web移動に伴う修正。


 昔々、江戸の町に大名家「来栖川家」のお屋敷がございました。
 来栖川様のお屋敷は、それはそれはたいそうご立派なお屋敷で、奉公人の数もそれはそれは大変な数でございます。

 ある日の事。来栖川のお家に、新しい奉公人がやってまいりました。
 その者の名前は丸智。少しばかりドジでおっちょこちょいな所がありましたが、一生懸命働くので、誰からも好かれていました。
 そしてまた、彼女は猫を連れていました。その猫の名前はセリオ。セリオは、良く丸智になついていて、彼女の後をいつもひょこひょこと歩いておりました。


 ・・・そんな、ある日の事。


 ガシャーン!!
「あ、あうぅ・・・大旦那様の、大切なお皿を割ってしまいましたですぅ・・・」
 何と、丸智は大旦那様の大切な大切なお皿を割ってしまいました。
 それを知った大旦那様は大層お怒りなさり、怒りのあまり丸智を手討ちになさってしまいました。

 そして、その日からセリオは、食べ物を受けつけなくなってしまい、とうとう死んでしまいました。


 それから数年後。
 来栖川のお屋敷に、新しい奉公人がご奉公に上がりました。
 その者の名前は芹緒。背が高く、それはそれは美人でございましたが、どこか物悲しげな表情をいつもたたえておりました。

 そして、その頃からです。
 夜な夜な、大旦那様のご寝所の辺りに、皿を数える悲しそうな声が聞こえるようになったのは・・・。

『あうぅ・・・お皿が1枚・・・お皿が2枚・・・お皿が3枚・・・お皿が4枚・・・お皿が5枚・・・お皿が6枚・・・お皿が7枚・・・お皿が8枚・・・お皿が9枚・・・あうぅ〜、一枚足りませ〜ん(涙)』

 ところで、来栖川のお屋敷には、二人のお嬢様がいらっしゃいました。
 一人は物静かなお嬢様で、名前を来栖川芹香様とおっしゃいました。
 もう一人は活発なお嬢様で、名前を来栖川綾香様とおっしゃいました。
 二人とも大旦那様のご寵愛の下でお育ちになられました。

 そんなある日の事。
 綾香様がお皿を数える丸智の幽霊のお話を聞き、
「じゃあ、私が夜に調べて正体を確かめて見るわ。大丈夫、この綾香ちゃんにまっかせなさ〜い♪(ブイっ!)」
とおっしゃって、薙刀片手に夜のお屋敷の中を見て回る事になりました。

 その夜、丑三つ時の事。
「・・・さて、そろそろよね〜、お皿の幽霊が出るのって」
 綾香様がお屋敷の中を見て回っていると、使用人の寝所にほど近い油小屋から、何やらぴちゃぴちゃと言う音がします。
「・・・? 何の音?」
 不審に思われた綾香様がそっと近づいて、いきなり障子戸を開けますと、何とそこには、猫の耳をした芹緒が、油をなめているではありませんか。
「・・・み、見ましたね・・・?」

 綾香様はつかつかと芹緒の方に歩かれると、芹緒の両方のほっぺたをつまんで引っ張りました。
 そして、こうおっしゃいました。
「セリオ、止めてよね。菜種油って、高いんだから」
「ふ、ふひはへん」


 ちゃんちゃん♪

− 終わり −