「別れ」
(Episode:HM−13・セリオ(ToHeart)/投稿作品/投稿者:北村信治さん)


 いつからだろう。僕が『ママ』と呼んだのは・・・

 いつからだろう。『ママ』が『お母さん』になったのは・・・

 いつからだろう。『お母さん』を『女性』として意識したのは・・・

 僕は『お母さん』に『男』にしてもらった。

 『お母さん』は僕の『彼女』になったんだと思ってた。

 僕だけの『彼女』になったんだと、思ったんだ・・・

 今、僕の前には死にかけた『彼女』がいる。
 僕のせいで死にかけている『彼女』がいる。
 僕には泣くことしか出来なかった。
 泣いて『彼女』を困らせることしか出来なかった・・・

 ひとしきり泣いて、いくらか落ち着いた僕は言った。

「男の子は、強くなくっちゃ、いけないんだったよね。」

 『彼女』は、精一杯の笑顔をくれた。

「・・・私は・・・幸せでした・・・機械の私を・・・こんなに・・・愛して・・・く・・・れ・・・・・・」

 それが、僕が最後に聞いた、『僕だけのセリオ』の言葉だった・・・

− 終わり −