「星空の下で・・・」
(Episode:雛山 理緒(ToHeart)/投稿作品/投稿者:荻原さん)


 7月6日(ゲームセンターにて)

店員「おーい!雛山!こっちを手伝ってくれ!」
理緒「はーい!いま行きます」
 今、店員に呼ばれた女の子の名前は「雛山理緒」高校2年生。
 彼女は今、ゲームセンターでバイトの真っ最中。
 なぜ、バイトをしているのかと言うと、生活費のためである。
 雛山家は母と良太(弟)とひより(妹)と理緒の4人暮らしで、父親がいないため母一人で3人の子供を育てるのは大変なのだ。
 しかし、その母は今、入院している。
 疲労がたまったため倒れてしまったのである。
 その間は理緒が弟と妹の面倒を見ないといけないので、そのためにバイトをしている。
店員「雛山!時間だ!上がっていいぞー」
理緒「あ、はい!お疲れ様でしたー」
店員「おう、お疲れ」
理緒「よし、今日も一日のバイトも終わりっと。早く帰って良太達の夕食を作らないと・・・」
 そして、裏口から出た理緒に声を掛けてきた人がいた。
??「よっ!お疲れ!理緒ちゃん!」
理緒「あー!藤田君!」
 藤田と呼ばれたこの男は理緒と同じ学校の同じ2年生の藤田浩之と言う。この2人が付き合い始めてから2ヶ月が経っている。
理緒「藤田君、どうしたのこんな時間にこんなところで会うなんて珍しいよね?」
浩之「いやー、腹が減ったんで夜食を買いに来たらちょうど理緒ちゃんが出てくるのが見えたから」
理緒「あ、そうなんだー」
浩之「ところで、理緒ちゃんの方はこれでバイト終わり?」
理緒「うん!今から家に帰る所なの」
浩之「そうか、それじゃあ送っていくぜ」
理緒「え、そう?ありがとう藤田君」
 そしてその帰り道で理緒が浩之に話しかけてきた。
理緒「ねぇ、藤田君?」
浩之「ん?なに?理緒ちゃん?」
理緒「明日、暇かな?」
浩之「明日?おう、暇だぜ!」
理緒「明日のバイト6時には終わるんだけど、一緒に七夕のお祭りに行かない?」
浩之「お!理緒ちゃんの方から誘ってくれるなんて珍しいなー!おし!いいぜ!いっしょに行くか!」
理緒「本当?ありがとう藤田君!」
浩之「で、待ち合わせとかどうする?」
理緒「明日の6時半に公園で!」
浩之「OK!6時半に公園だな!」
理緒「うん!あ、藤田君もうここでいいよ。」
浩之「お?そうか、じゃあ明日な!忘れるなよ!!」
理緒「藤田君もね!バイバイ」
浩之「じゃーなー!」
 たったったったった・・・・・・
理緒「えへっ!明日は藤田君とお祭りだうれしいな!」
 ピタッ!
 理緒はふと立ち止まって何やら考え出した。
理緒「・・・これって、デートなのかな?・・・・・・・・デート・・・藤田君とデート・・・・なんだか恥ずかしいな(ぽっ!)」
 真っ赤になってスキップしながら帰っていく理緒あった・・・


 そして、当日。
理緒「るんるんる〜ん♪」
 今、理緒はバイト中なのだが上機嫌だった。なぜなら、あと30分で、バイトが終わり、浩之とのデートだからだ。
店員「雛山ー、これを地下に運んでおいてくれ。」
理緒「あ、はーい。分かりましたー。」
店員「頼んだぞー。」
理緒「はい!これだな・・・よいしょっと、うんしょ、うんしょ、あ、もうすぐ階段だ。慎重に慎重に・・・・・あとちょっと、あっ!!」
 ズルッ!ガタガタ!ドターン!!!
 ああ、なんということあとチョットだったのに転んでしまった。
 なんて、不運な・・・かわいそうに・・・
理緒「いったーい。クスン、また転んじゃった・・・」
店員「なんだ!?どうした!?あっ!おい雛山大丈夫か?」
理緒「あ、はいなんとか・・・・痛っ!」
店員「どうした?どこを怪我した?あっ、足をくじいたのか?よし今、医務室へ連れていってやるぞ。」
理緒「い、いえ、大丈夫です。このくらい・・・痛っ!」
店員「ほら、無理をするな!立てないんじゃ大丈夫じゃないだろう?」
理緒「すいません・・・・」
店員「ほら、肩につかまれ、行くぞ。」
理緒「はい・・・・・」
 医務室にて
医師「ん〜、これじゃあしばらくは歩くのは無理だな、しばらく家で安静にしてないとだめだ。」
理緒「えっ!じゃあ、今日のお祭りに行くのは・・・・」
医師「お祭りはもちろん学校に行くのも無理だ。」
理緒「そんな・・・。(せっかくの藤田君とのデートが・・・)」
医師「とりあえず、松葉杖を貸すから今日はもう家に帰って安静にしてなさい。」
理緒「はい。・・・・・クスン。」
 そして場面は雛山家へと移る。
理緒「ただいま・・・・・」
良太「ねーちゃん、おかえり!・・・・・・ど、どうしたんだねーちゃん!?その怪我は!」
理緒「バイト先で挫いちゃって、あ、でもしばらく安静にしていれば治るって。」
良太「そうか・・・・あれ?今日は藤田浩之とデートじゃなかったのか?」
理緒「も、もう!良太!何を言うの!ただお祭りに行くだけだったの!」
良太「でもその足じゃいけないぞ!」
理緒「・・・・うん。どうしよう藤田君待ってるだろうなー。」
良太「藤田浩之は、どこで待ってるんだ?」
理緒「えっ?藤田君の家の近くの公園だけど・・・そんなこと聞いてどうするの?良太。」
良太「藤田浩之を家につれてくるぞ!じゃあ、いってくる。」
 だだだだだだだだだだだだっ!!!!
理緒「え?ちょ、ちょっと待ちなさい!良太!良太ーー!!」
 ちょうどそのころ浩之はというと・・・・・・・・
浩之「ったく、おっせーなー理緒ちゃん。何やってんだろ? 忘れてるはずないと思うけど・・・・」
 だだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだっ!!
浩之「ん?何の音だ?」
 その時何かがすごいスピードで砂煙を上げて浩之に向かってきた。
??「おい!藤田浩之!!」
浩之「おわっ!・・・・なんだ理緒ちゃんの弟の良太じゃねーか。どうした?」
良太「ねーちゃん、足を怪我して祭りにいけなくなったぞ。」
浩之「えっ!理緒ちゃん怪我をしたって!?で、大丈夫なのか?」
良太「ねーちゃんは、しばらく安静にすれば治るって言ってたぞ。」
浩之「そうか・・・・で?それ伝えにわざわざ来たのか?」
良太「違うぞ!藤田浩之を迎えに来たんだぞ!」
浩之「あん?迎えに来たって?俺を?」
良太「おう!そうだぞ!ねーちゃんが家にいて祭りにいけないから迎えに来たぞ!」
浩之「そうか。分かった。よし行くか!良太!」
良太「おう!」
 だだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだっ!
 二人は走って雛山家へと向かった・・・
 そして、夕方、この公園にすごいスピードで砂煙を上げて走る、一人の青年と一人の少年の姿が来栖川家の衛星に確認されたという
綾香「ねぇ、あれ・・・何に見える?姉さん・・・・・・」
芹香「・・・・・・・・・・・・・・・・・・(何でしょう?)」
 そして、場面はまた雛山家へと移る・・・
良太「ただいま。ねーちゃん。藤田浩之を連れて帰ったぞ」
理緒「良太!もう、急に出ていちゃて、心配したじゃないの!」
浩之「よっ!理緒ちゃん!」
理緒「えっ!あ、あれっ?な、なんで藤田君がここにいるの?」
良太「だから、「つれて帰ってきた」って言ったぞ。ねーちゃん。」
理緒「えっ!えっ!えぇ〜〜〜!!!」
 理緒ちゃんは驚きました。怪我をして祭りに行けなくなったので『浩之に今日は会えない』と思っていたからです。
良太「なに、慌ててるんだ?ねーちゃん。」
理緒「あ、慌ててなんかないわよ!もう・・・・と、とりあえず上がって藤田君。」 
良太「おう!上がっていいぞー!」
理緒「こらっ!良太!あなたは自分の部屋でひよりの面倒を見てなさい!」
 ひよりとは理緒の妹で5歳。(くらいだったかな?)理緒がバイトに行ってるときは良太がひよりの面倒を見ているのだ。
 良太は性格は志保と同じだが志保よりは良い奴である。
志保「ちょっと!私の性格のどこが悪いのよ!それに聞いてるとまるであたしがいやな奴みたいじゃないの!」
 だって、実際そうでしょうが。
志保「なんか言った?」
 いえ、何でもありません。え〜、それでは次へ進みたいと思います。
志保「ちょっと!待ちなさいよ!あたしの出番これだけ?」
 そうです。
志保「まだ、話足りないのに〜!」
 あ〜、うるさい・・・・・・次行こう、次!
良太「おう!分かったぞ!じゃあ、ゆっくりしていけよ藤田浩之!!」
理緒「いいから、行きなさい!もう・・・あ、じゃあ、上がって藤田君。」
浩之「じゃあ、お邪魔します。」
 場面は変わってここは理緒の部屋。
理緒「ごめんね?藤田君、良太が迷惑をかけちゃって・・・・・」
浩之「いいよ、気にしてないから子供はあれくらいがちょうどいいぜ。それにしても、理緒ちゃんが怪我をしたって聞いたときにはちょっと驚いたぜ。大丈夫か?その足。」
理緒「うん。しばらく安静にしていれば治るって。」
浩之「そうか、そりゃあよかった。」
理緒「でもごめんね。藤田君。」
浩之「ん?何が?理緒ちゃん。」
理緒「せっかくの七夕なのにお祭りに行けなくなっちゃって・・・」
浩之「いや、理緒ちゃんが無事ならそれでいいよ。祭りは来年もあるんだ。来年はいっしょにいこうな!」
理緒「うん!」
浩之「理緒ちゃん、ちょっと散歩に行かないか?そこまで。」
理緒「え?でも、私この足じゃあいけないよ?」
浩之「大丈夫!俺がおぶってやるよ!な?行こうぜ?」
理緒「えっ、でも・・・・・・」
浩之「理緒ちゃんは俺におんぶされるのはいやか?」
理緒「え?そ、そんな事ないけど・・・・」
浩之「じゃあ、いいじゃん。行こうぜ?」
理緒「・・・・うん!分かった行こう。藤田君!」
浩之「よっしゃ!任せろ!!」
 そして川原までやってきた。
 ここは理緒が浩之に『藤田君の気持ちを教えて?』と聞いて浩之が『俺は理緒ちゃんが好きだ。』答えた場所なのだ。
 まあ、簡単に言えば二人が付き合い始めた。思い出の場所である。
理緒「・・・・・風が気持ちいいね。藤田君。」
浩之「そうだな・・・・」
理緒「藤田君、ちょっとここに座ろう?ずっとおぶってると疲れるでしょ?」
浩之「ん、そうだな、じゃあ座るか。」
理緒「ねぇ、藤田君、この場所覚えてる?」
浩之「ああ、覚えてるよ。俺が理緒ちゃんに『好きだ』って行った場所だろ?」
理緒「うん!覚えててくれたんだ。」
浩之「忘れるわけないよ。あのときが始めてだったからな。」
理緒「えっ?何が?」
浩之「ファーストキス」
理緒「あっ・・・・・」
 真っ赤になって下を向く理緒
 少し赤くなって、頬をぽりぽりと掻く浩之。
理緒「も、もう!何を言うの!藤田君ったら・・・・」
浩之「はははっ!」
理緒「もう・・・・あっ!」
浩之は理緒の肩をに手を当てて自分の胸に抱き寄せた。
理緒「藤田君・・・・・・・」
浩之「俺のあのときの気持ちは今でも変わってないよ。むしろ、大きくなったよ。」
理緒「藤田君・・・・・・・」
 ふと、見つめ合う二人は目を閉じて顔を近づけた。
 そして・・・・・・・
理緒&浩之「・・・・・・・・・・・・」
 そして、顔を離した二人は・・・
浩之「いつまでもいっしょに居ような。」
理緒「うん!」
 そして、二人の愛を確かめ合ったのであった。
 いつまでもお幸せに・・・・・・・

− 終わり −

あとがき

 皆さん、始めまして荻原と申します。
 このSSはPS版の「To Heart」をもとに始めて僕が書いた、SSです。
 SS書くのは始めてなのであまり自信ないですけどもしよかったら読んだ感想をいただけるとうれしく思います。
 また、機会があったら書いてみたいと思います。
 それではまたお会いしましょう。

P.S 特別出演

 長岡志保
志保「ま、主役じゃないのがしゃくだけど、出れたからいいわ。」

 来栖川姉妹
綾香「なんか、志保より台詞が少ないんじゃない?」
芹香「・・・・・・・・・・」
綾香「え?なに?私もそうですって?」

 上三人以外のキャラクター達のファンの方々出せなくてすいません。
 機会があったら書いて見たいと思います。それではまた。

 理緒以外の方々
「「「「「「「「「次は私が主役よ!」」」」」」」」」
 無茶言わないで(>。<)・・・・・・・


<解説?みたいな物>

 いやあ、理緒ちゃんのラブラブなお話しですねぇ〜。
 読ませて頂いて、理緒ちゃんが本当に幸せそうで良かったです。

 今回、この作品は荻原さんから「7月7日の七夕記念」と言う事で頂きました。
 ・・・そう言えば、明日って内地は七夕なんですね。北海道はSS「一月遅れの七夕祭り」でも書きましたが、どちらかと言えば8月7日に行われることが多いです。
 それに、SSの題材にとかはするけど、考えたら七夕ってココ十数年行った事無いなぁ・・・。

 まあ、それはさておき。

 初めて書かれたと言う事ですが、それを思わされないほど良い作品でした。
 荻原さん、本当にありがとうございました〜。