「『猫の日』で小咄一つ」
(Episode:HMX−13・セリオ(ToHeart)/掲示板掲載SSシリーズ・18)


 ひょんな事から、マタタビを手に入れた。
「今日は猫の日だから、浩之の家の猫にもあげたらどう?」
と言う言葉と一緒に、雅史に手渡されたのだ。
 ・・・今日が猫の日?
 どう言う根拠だ?
 う〜む、謎だ。

「・・・って訳なんだけど、由来とかって解るか?」
 家に帰ったオレは、早速セリオに聞いて見た。
「はい、2月22日と、2並びの今日は、2を『にゃん』と読む事によって、『にゃんにゃんにゃん』となりますので・・・」
「・・・・・・」
 謎でも何でもなかった。
「くだらねぇなぁ・・・」
 そう言いつつ、オレの方に寄って来た猫の芹緒に、マタタビをやってみる。
「ほれ、マタタビだぞ」
「にゃぁ〜」
 芹緒は、初めマタタビにじゃれていたが、そのうちかじり始め、最後には酔っぱらったようにごろごろと転がり始めた。
「・・・結構効くもんだなぁ」
「丁度、人間の方がお酒を飲むのと同じような効果が有るそうです」
「そうか・・・ふむ」
 猫にマタタビ。
 猫科の動物にマタタビ・・・。
「セリオ、トラやライオンって、確か猫科だったよな?」
「え? は、はい、そうですが?」
「じゃあ、トラやライオンにもマタタビって効くのか?」
「えっと・・・ええ、トラやライオンにもマタタビは効果が有ります」
 少し考えるようにしてセリオが答える。
「そうか・・・ふむ」
「でも、だからといって動物園とかに行って試そうなんて思わないで下さいね?」
 ぐ。
「そ、そんな事する訳ね〜だろう?」
 ちょっとは思ったけど。
「でも、今そう言う事を考えていませんでした?」
 そう言いながら、セリオがオレの顔をのぞき込んでくる。
 じっとオレの目を見つめるセリオ。
「・・・すいませんでした」
「はい、宜しい」
 そう言ってセリオはにっこりと笑った。

 ・・・最近、セリオには冗談がますます通用しづらい。

− おしまい♪ −