「7月13日の数日後」
(Episode:来栖川 芹香?(ToHeart)/掲示板掲載SSシリーズ・2)


「おうおうおう! オレ、マンドラゴラ様だ! 芹香様のおかげで、枯れていた所を助けて頂いたばかりか、こうやってたばこまでふかせる位までに復活させてもらって、感謝感激雨あられよ!」
「・・・・・・しかしなぁ、たばこは身体に悪いぜ?」
 オレはそう言うと、芹香先輩の肩の上に座ってたばこをすっているマンドラゴラを見た。
(・・・除草剤、効かね〜とは、よほど丈夫なのか、あるいはしぶといのか・・・)
「その辺は大丈夫だ、あんちゃん。このたばこは芹香様が特別に調合してくださった、薬草たばこだ。だから、身体に良いのさ」
「そうなの、先輩?」
 こくん。
「えっ? 浩之さんもお一ついかがですかって? イヤ、ほら、オレはまだ未成年だし・・・」
 そう言うと、芹香先輩は「そうでしたよね・・・」と言って、出しかけたたばこをポケットにしまい込んだ。
「でもさ、先輩、こいつどうするの?」
「あんちゃん、せめて『こいつ』は止めてくれねぇか? 除草剤の事はきれいさっぱり忘れてやるからよぉ」
 ・・・覚えてるし。
「・・・・・・」
「え、助手としていろいろと手伝ってもらいますって? はぁ・・・」

 オカルト同好会で、いつもの魔女ルックで何やら呪文を唱える先輩、その肩に座って念を込めているマンドラゴラ、部屋の端でにゃ〜と鳴く黒猫。
 ・・・シュールだ。シュール過ぎる。
 そのうち、黒猫の奴もしゃべり出したりするんじゃね〜のか?
「・・・・・・」
「・・・・・・」
 ふと目があった黒猫は、例の如くオレを見てにやりと笑った。

− 終わり −